ブレーシング(腹圧呼吸)で働く筋肉と実践方法【体幹】

ブレーシング(腹圧呼吸)とは、体幹トレーニングの一種です。
ドローイン(ドローイング)がお腹をへこませる動作なのに対して、
ブレーシング(腹圧呼吸)は、お腹を膨らまして腹圧を高め、腹部全体に力を入れて体幹をカチッと固定することで、背骨の安定性を高める技術です。
腹圧を高めることで、重いものを持ち上げたり、スポーツで力を発揮するときの腰部の負担を軽減し、
結果としてスポーツパフォーマンスを向上させたり、腰痛を予防・改善する効果が期待できるため、
リハビリの現場や、あらゆるスポーツの現場でも用いられています。
腰痛の予防、改善には、ドローイングとブレーシングを併用することで高い効果を得られる可能性が示唆されています。※参考①
ブレーシングは、体幹のインナーマッスルと、アウターマッスルを両方とも働かせるため、
事前にドローイン(ドローイング)ができるようにする必要があります。
ブレーシング(腹圧呼吸)をやるべき人
ブレーシング(腹圧呼吸)をやるべき人はこんな人!
- ドローイングに慣れてきた人(さらに体幹を強くしたい人)
- 腰痛の予防、改善をしたい人
- 姿勢を改善したい人
- 重いものを持ち上げる機会が多い人
- パワーを高めたい人
- ゴルフや野球での爆発的なパワーを高めたい人
ブレーシングでは、体幹のインナーマッスルを強化できるだけでなく、体幹伸展、股関節伸展動作時の筋力パワー発揮能力を増大することができます。
そのため、スポーツ動作で強い力を発揮するときやビッグ3など高重量を挙げるときのパフォーマンスを高める効果があることが示されています。※参考②
ブレーシング(腹圧呼吸)で鍛えられる筋肉
ブレーシング(腹圧呼吸)で鍛えられる筋肉には次のようなものがあります。
ブレーシングはお腹を膨らませた状態でお腹を固めて固定することから、
体幹部のインナーマッスルとアウターマッスルの双方の筋肉を多く使います。※参考②
ブレーシング(腹圧呼吸)で鍛えられる筋肉
- インナーマッスル→腹横筋(ふくおうきん)、内腹斜筋(ないふくしゃきん)、多裂筋(たれつきん)
- アウターマッスル→腹直筋(ふくちょくきん)、外腹斜筋(がいふくしゃきん)、脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)






ブレーシング(腹圧呼吸)の注意点
ブレーシングは腹圧を意図的に高めるエクササイズです。
メリットが多い一方で、血圧を上昇させやすいエクササイズなので過度な実践によってデメリットが生じる可能性が考えられます※参考③ ※参考④
下記に当てはまる人や心配な人は事前に専門医とご相談ください。
ブレーシングを避けるべき人
- 脳血管疾患、心血管疾患など血管系の病気を抱えている人
- 高血圧の人
- 産後2か月以内の人
- 尿漏れがある人
- 鼠経ヘルニアのある人
- 腹部が肥大して腹筋が離解している人(腹直筋離解)
ブレーシング(腹圧呼吸)の実践方法
ブレーシング(腹圧呼吸)は仰向けから練習をはじめていき、慣れてきたら立った状態で行うことが可能です。
まずは基本的なブレーシングの練習法からお伝えします。
ブレーシング(腹圧呼吸)の練習
回数目安:10回×2~3セット
- ①仰向けになりウエストに手を当てておく
- ・ウエスト(わき腹)を両手で固定しておく

- ②息を吸い込んでお腹を全方向に膨らませる
- ・お腹を線方向(おへそ側、横、背中側)をぱんぱんに膨らませる
・ウエスト(わき腹)の手を押し返すように息を膨らませる

- ③お腹を膨らませた状態で息を吐く
- ・息を吐くときに、ウエスト(わき腹)がしぼんでしまわないようにキープする

ブレーシング(腹圧呼吸)座ったままバージョン
回数目安:10回×2~3セット
- ①座ったままウエストに手を当てておく
- ・ウエスト(わき腹)を両手で固定しておく

- ②息を吸い込んでお腹を全方向に膨らませる
- ・お腹を線方向(おへそ側、横、背中側)をぱんぱんに膨らませる
・ウエスト(わき腹)の手を押し返すように息を膨らませる
・首をすくめないように注意しましょう


- ③お腹を膨らませた状態で息を吐く
- ・息を吐くときに、ウエスト(わき腹)がしぼんでしまわないようにキープする

ブレーシング(腹圧呼吸)立ったままバージョン
立ったまま行う場合は、壁の近くなどすぐに体を支えられるなど安全に注意した環境で行いましょう。
回数目安:10回×2~3セット
- ①立ったままウエストに手を当てておく
- ・ウエスト(わき腹)を両手で固定しておく

- ②息を吸い込んでお腹を全方向に膨らませる
- ・お腹を線方向(おへそ側、横、背中側)をぱんぱんに膨らませる
・ウエスト(わき腹)の手を押し返すように息を膨らませる
・首をすくめないように注意しましょう


- ③お腹を膨らませた状態で息を吐く
- ・息を吐くときに、ウエスト(わき腹)がしぼんでしまわないようにキープする

ブレーシング(腹圧呼吸)の応用
ブレーシングの応用として、ヒップリフトの姿勢をキープしたまま、ブレーシングを行うという方法があります。
このようにブリッジ姿勢でブレーシングを行うことによって、仰向けなどのほかの姿勢よりも優位に腹横筋(ふくおうきん)の力が高くなります。※参考⑤
ヒップリフト姿勢でのブレーシング
回数目安:10回×2~3セット
- ①仰向けからお尻を浮かせる(ヒップリフト)
- ・腰をそらせない
・脚は肩幅にする
・お尻に力をいれておく

- ②息を吸い込んでお腹を全方向に膨らませる
- ・お腹を線方向(おへそ側、横、背中側)をぱんぱんに膨らませる
・ウエスト(わき腹)の手を押し返すように息を膨らませる

- ③お腹を膨らませた状態で息を吐く
- ・息を吐くときに、ウエスト(わき腹)がしぼんでしまわないようにキープする

さいごに
最終的には、ブレーシングした状態(お腹を固めたまま)で浅い呼吸や会話ができるようにすることが目標です。
これができるようになると、普段の動作中も体幹の安定を維持し続けることが可能です。
本記事の参考文献▼
参考①:腹部ホローイングと腹部ブレース:体幹の安定性とリハビリテーションの有効性に関する臨床試験のスコープレビュー
参考②:体幹筋群の随意同時収縮(ブレーシング)トレーニングの効果に関する研究
参考③:バルサルバ法:腹腔内圧への影響と抵抗運動中の安全性の問題
参考④:女性パワーリフターにおける尿失禁の有病率:パイロットスタディ
参考⑤:異なるコア安定性トレーニングポジションでの引き込みとブレーシングによる横隔膜筋の動員の比較


