筋肉痛が遅れてやってくるのはなぜ?筋肉痛のメカニズムについて解説します

慣れない運動や、筋トレを行ったあとに感じやすい筋肉痛。皆さんも経験があると思います。

そして、筋肉痛は大抵、時間をおいてから感じることが多いです。

筋肉痛が遅れて生じる理由には、筋肉痛が発生するメカニズムが関わっています。

今回は、筋肉痛が発生するメカニズムから、筋肉痛が遅れて生じる理由についてお伝えします。

筋肉痛の原因は乳酸ではなかった

かつては乳酸が溜まることで起こる「乳酸説」が理由ではないかと言われてきました。

乳酸とは、体の中にある糖類が、運動のエネルギーとして分解される過程で生まれる酸性の物質のことです。

しかし、研究が進むにつれて乳酸説は否定されています。

その理由は、乳酸は筋肉が活動した結果、血中にたまるものの、運動後1時間ほどで血中からは消失することが明らかになっているためです。

筋肉痛には、運動直後に訪れる物と、運動後24時間以上たってから訪れる物がありますが、

血中の乳酸が1時間程度で消失するのであれば乳酸が筋肉痛を引き起こすとは考えにくいということです。

筋肉痛の原因は筋線維の損傷?

筋肉痛が起こる根本的な原因は、筋線維の損傷です。

筋肉痛の原因は筋肉(筋線維や筋膜)が損傷することで引き起こされると考えられています。

特に、エキセントリック収縮を伴う刺激を与えることによって筋肉に微細な損傷が起こりやすくなることが分かっており、

実際に筋肉痛とエキセントリック収縮(筋肉が収縮しながら引き伸ばされる)を伴うトレーニングの関係が明らかになっています。※参考

そのため、基本的には、筋線維や筋膜の損傷を発生させたことが筋肉痛を引き起こしていると考えてよいでしょう。

ただ、近年の研究では、もう少し細かいメカニズムが解明されつつあります。

そのメカニズムを知れば、筋肉の損傷から筋肉痛が起こるまでのプロセスが分かり、筋肉に対する理解はさらに深まります。

筋肉痛の痛みを感じているのは「筋膜」

筋肉の大半は、筋線維という細胞によって構成されています。

筋肉痛は、トレーニングによって引き起こされた損傷が原因ですが、痛みを感じているのは筋線維ではありません。

なぜなら、筋線維には痛みを感じる神経はほとんど存在していないからです。

しかし、筋肉を覆っている「筋膜」には、

痛みを感じる神経(侵害受容器)が豊富に存在していることが明らかになってきました。※参考

筋肉痛の原因を調べた様々な研究からも、筋肉痛の痛みを感じているのは筋線維ではなく、

筋膜にある侵害受容器という神経を介して感じていると言われています。※参考

筋肉痛のメカニズム

2024年に発表されたレビューをみると、

筋肉痛を引き起こすメカニズムは「筋線維の炎症と、それに伴う筋組織内の浮腫(むくみ)が痛みを感じる神経を刺激すること」と考えられます。

筋肉痛が起こるメカニズムとしては以下のようになります。

①筋肉に微細な損傷が起こる
筋肉(筋線維、筋内膜・筋周膜などの結合組織、筋膜)に微細な損傷が起こる
②傷ついた筋肉を修復しようと炎症反応が起こる
・炎症によって血管から水分が漏れ出てむくむ
・痛みを起こす物質が発生する(ブラジキニンやプロスタグランジンなど)
③炎症が広がっていき筋膜に到達する
筋線維から時間をかけて筋膜に損傷が広がります
④炎症によるむくみや、痛みを起こす物質が神経を刺激する
筋膜に豊富に存在する痛みを感じる神経(侵害受容器)を刺激します
⑤痛みを感じる神経が刺激を受けると筋肉痛が発生する
ここでようやく痛みが発生します。

上記のように、痛みが出始めるのは、炎症が広がって神経に到達してからです。

痛みを感じる神経は筋膜に存在しており、ここに炎症が広がってから筋肉痛が発生します。

なぜ、筋肉痛は遅れてくるのか?

なぜ筋肉痛は遅れてやってくるのでしょうか?

それは、前述のとおり、筋線維自体には痛みを感じる神経がほとんどないことと関係しています。

筋トレ直後は筋線維が微細な損傷を受けている状態ですが、

痛みを感じる神経は、筋肉を包む「筋膜」に集中しています。

筋トレ後は筋線維・筋膜ともに微細な損傷が起こると考えられますが

真っ先にダメージ受けるのは筋線維の方です。

なぜなら、筋線維と筋膜では構成しているものが異なるためです。

筋線維は、細胞が集まって作られているため、非常に壊れやすいです。

しかし、筋膜はコラーゲンやエラスチンといった、非常に強度の高いタンパク質で作られています。

そのため、筋線維の方が圧倒的に損傷を受けやすいと考えられます。

そのため、筋トレを終えた直後は筋線維の損傷が大きいため、まずは筋線維に炎症が起こります。

筋線維で起きた炎症は24時間~48時間程度の時間をかけて筋膜へ到達します。

筋膜に到達して、ようやく痛みを受容するため、

このような時間差が生じるのです。

これが、筋肉痛が遅れてやってくる理由となります。

まとめ

筋肉痛の原因は、シンプルに考えれば筋線維や筋膜の微細な損傷です。

そして損傷した部分が炎症を引き起こし、炎症が筋膜まで広がると痛みを感じるのです。

このように、損傷の発生から痛みの起こりまでには時間がかかるので筋肉痛は遅れてやってくるのです。

まだまだ筋肉痛については分かっていないことも多いので、今後の研究に期待されます。

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