時間がない人がベンチプレスの最高記録を伸ばすための戦略

前回の記事では、時間のない中・上級者に向けてのトレーニング戦略をテーマにしてきました。

1回あたりのトレーニング時間を30分程度に短縮しながらも

筋力・筋肥大・筋持久力を狙うためのトレーニング法について、具体例を合わせてお伝えしていきました。

しかし、自分の出せる最大限の力(1RM)を向上させる部分については効果が明らかではありません。

そこで、今回の記事では、トレーニングの時間を短縮しながらも

ベンチプレスで最高記録を引き出すために有効な方法について

前回紹介したレビューに基づく方法の応用編として

その有効性や具体的な方法について考えていきます。

今回の記事でお伝えする戦略を取り入れると以下のようなメリットがあります▼

・1回あたりのトレーニング時間が短くなるので高い集中力を保ちやすくなる

・疲労管理をしやすくなりベンチプレスの練習のパフォーマンスを維持しやすい

・ベンチプレスの最高記録を伸ばしながら全身の弱点部位を補える

最高記録を伸ばすトレーニングは時間が長くなりやすい

前回紹介した方法で、最大限の力(1RM)を向上させる有効性が示されていない理由として、

私は次のように考えています。

・最大限の力(1RM)の向上には神経系のトレーニングが必要だから

・神経系のトレーニングにはセット間の十分な休息時間が必要だから

上記のような理由から、スーパーセット法やドロップセット法、レストポーズ法を用いた手法では

神経系への十分な刺激の確保が難しいということが

1RMの向上に繋がらなかったと考えています。

1RMを向上させるためのトレーニングを行うためには、

85%1RM以上の高負荷を用いた神経系の発達を狙う必要があります。

神経系の発達を狙うトレーニングでは、

トレーニングのセット間に、3分~8分程度の長い休息を挟みます。

そのため、他の種目も行おうとすると、

どうしてもトレーニングに費やす時間が長くなってしまいます。

そこで、今回お伝えする内容を実施することで、

トレーニング時間を短縮しながら、

ベンチプレス以外の種目を実施することができるため、

身体の弱点部位を克服しやすく、ベンチプレスの記録の向上に繋がりやすくなります。

今回お伝えする内容は、そんな休息時間を有効に活用することで

時間短縮とベンチプレスの記録の向上を狙うための戦略を2段階に分けてお伝えします。

戦略①:マイクロドージングを取り入れる

マイクロドージング(MD)とは、

1週間の総トレーニング量を、短時間・高頻度のセッションへ分割する方法です。

コチラについては前回の記事でも紹介した通りで、

1回のトレーニング時間を30分程度に短くする代わりに、

実施する回数を増やすことで、週辺りの総ボリュームを保つ考え方です。

次のようにパターン①と②で例を挙げると、

・パターン①(通常):1回60分のトレーニングを週に3回行っているパターン(合計で180分/週)

・パターン②(MD):1回30分のトレーニングを週に6回行っているパターン(合計で180分/週)

上記の2つのパターンは、1回あたりのトレーニング時間は異なるものの、

結果的には同じだけの時間をトレーニングしていることになります。

そのため、週あたりのボリュームは保たれるので、

1回あたりのトレーニング時間を短くした分、頻度を増やすことでカバーすることができます。

ここまでがマイクロドージングの考えをベースにした内容です。

そして1回あたりのトレーニングで行う内容を、より内容の濃い物とするために

トレーニング中のインターバルを活用して

多くの刺激を増やすようにすると、結果的にはパターン①よりも、パターン②(MD)を用いた方が

週あたりのボリュームが増加しトレーニングによる筋力・筋肥大・筋持久力増加の効果が高くなります。

ただし、ベンチプレスの最高記録を伸ばすための、最高出力としての筋力の向上にとっては、

このような方法は不向きです。

そこで、日ごとに、ベンチプレスの日と、時間効率化トレーニングの日を分けてスケジュールを組んでいく必要があります。

戦略②:ベンチプレスの練習日と時間効率化トレーニングの日を分ける

時間効率化トレーニングとは、同じ時間内でより高い効果を得られるように工夫する手法です。

スーパーセット法・ドロップセット法・レストポーズ法といった、セット間の休息時間を極限まで短くするような

方法が有効とされています。

※参考:“時間節約トレーニングvs時間効率化トレーニングの用語、方法および処方 Time-Saving Versus Time-Efficient Training Terminology, Methods, and Prescription”

しかし、ベンチプレスの記録の向上を狙う場合、これらの方法を用いるのは

ベンチプレスを行う日と別の日に持ってくることで

全身の弱点部位を補い、ベンチプレスの記録向上に貢献する可能性が高まります。

例えば1回30分のトレーニングを週に6回行う場合、

1週間の中で以下のようなトレーニングの予定を組むと良いです。

(月)最大筋力を向上させる

ベンチプレス(85~90%RM)✕3~5回 3セット

ダンベルローイング(60~80%RM) ✕8~10回 2~3セット

オーバーヘッドトライセップスエクステンション(60~80%RM) ✕8~10回 2~3セット

(火)土台を作る

以下、それぞれ交互に繰り返す(スーパーセット)

a.ブルガリアンスクワット(60~80%RM) ✕8~10回 2~3セット

↑↓

a.デッドバグ(自重) ✕10回 2~3セット

b.シングルヒップリフト(自重) ✕8~10回 2~3セット

↑↓

b.コブラ(自重) ✕8~10回 2~3セット

(水)筋肥大・技術練習を行う

ベンチプレス(70~75%RM)✕6回~8回 3セット

インクラインベンチプレス(70~75%RM)✕6回~8回 2~3セット

ラットプルダウン(60~80%)✕8~10回 2~3セット

(木)弱点部位を補強をする

以下、それぞれ交互に繰り返す(スーパーセット)

シングルルーマニアンデッドリフト (60~80%)✕8~10回 2~3セット

↑↓

ワンハンドローイング(60~80%)✕8~10回 2~3セット

ランジ(自重) ✕8~10回 2~3セット

↑↓

クライマー(自重) ✕8~10回 2~3セット

(金)1RMの練習をする(最大出力の発揮)


最高記録に挑戦する場合はPAP(PARE)を用いていきます。

アンラック(100~110%RM)✕1回

5〜8分待機

デッドバグ ・パロフプレス・ コブラなどの体幹や肩甲骨の安定化エクササイズを実施(疲労が出ない程度に)

ベンチプレス95〜100%RM✕1回 1セットのみ

(土)補強・回復促進

スクワット(自重) ✕8~10回 2~3セット

ヒップリフト(自重) ✕8~10回 2~3セット

コブラ(自重) ✕6~8回 1~2セット

ストレッチ

(日)完全休養日

上記のようにスケジュールを組むことで、ベンチプレス後の疲労回復を適切に行いながら

背中や体幹・下半身の筋肉をバランス良くトレーニングすることが可能です。

それにも関わらず、1回あたりのトレーニング時間は30分と、比較的短時間で行うことができます。

忙しくてトレーニングにかける時間が限られている人にとってはこのような方法をオススメします。

PAP(PARE)とは

PAP(PARE)とは、ポストアクティベーションポテンシエーションのことで、

1RM相当の負荷に挑戦する前に、アンラック(ラックから浮かして5秒程度キープする)のような

高負荷の運動を行うことで神経系を興奮させておくことで、

神経筋の活性化効果が現れやすくなる(1RMに挑戦する時に力が出やすくなる)という手法です。

PAPを実施した後は、神経の興奮とともに、筋肉の疲労を伴うので

一旦3~8分程度の休息を設けることで、筋肉の回復を取ってから本番に挑戦します。

こうすることで、神経が活性化した恩恵のみを受けることができるので、

メインの筋力や瞬発力の発揮能力を一時的に高めることができるのです。

PAPに関して詳しくはコチラ

まとめ

ベンチプレスの最高記録を向上させるためには、神経系のトレーニングが必須なので、

基本的には時間を短縮することが困難です。

そこで考えたいのが、ベンチプレスの記録を伸ばすためのトレーニング日と

背中や体幹・下半身のトレーニングはその他のトレーニング日を分けて考えていくことが良いと思います。

また、1回あたりのトレーニング時間を短くするためには

マイクロドージング(MD)の考え方を取り入れ、

1回あたりのトレーニングを30分、これを週に6回の頻度へ実施することで

高い集中力を保ちやすく、疲労管理もしやすいため

結果的にはベンチプレスの最高記録を伸ばしながら全身の弱点部位を補える

バランスの良いトレーニングを行うことができると考えられます。

是非、今回の記事の内容がお役に立てればうれしくい思います。

最後までご覧頂きありがとうございました。

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