巻き肩が招く肩の神経ネットワークのドミノ倒し

巻き肩は、見た目としての姿勢の悪さだけではなく、
肩や首の痛みやコリの原因になります。
今回は、巻き肩を皮切りに、肩や首に問題が起こる原因についてお伝えしていきます。
巻き肩がクワドリラテラルスペースを狭くする
クワドリラテラルスペース(Quadrilateral Space:QLS)(日本語で「四辺形間隙(しへんけいかんげき)」と呼ばれる)
とは、肩の後方にある四角い空間のことです。
具体的には、大円筋(だいえんきん)、小円筋(しょうえんきん)、上腕三頭筋(長頭)、上腕骨の4つに囲まれてできたスペースのことです。
参考↓

このスペースには、腋窩神経(えきかしんけい)と後上腕回旋動脈(こうじょうわんかいせんどうみゃく)が通っています。
今回の話でとくに重要なのは、「腋窩神経(えきかしんけい)」です。
巻き肩によって、肩が前に引っ張られたまま固定されると、
大円筋や小円筋に不自然な力がかかり続けることで、クワドリラテラルスペースが狭くなっていきます。
結果としてクワドリラテラルスペースを通過している腋窩神経が圧迫されることで、
腕が上がりにくくなったり、肩の後面・下あたりに痛みが出るようになります。
さらに、腋窩神経の圧迫によって引き起こされる問題は、これだけにとどまりません。
腋窩神経の圧迫が巻き肩をさらに悪化させる

巻き肩によって、クワドリラテラルスペースが圧迫されて、腋窩神経を圧迫すると
首や肩に様々な問題が起こります。
その理由は、腋窩神経が支配している筋肉の働きが関係しています。
腋窩神経が支配している筋肉は、
「三角筋(さんかくきん)」と「小円筋(しょうえんきん)」です。
これらの筋肉は、肩の動きに関わり、
肩の位置を後ろに固定する働きがあります。
腋窩神経が圧迫することで三角筋と小円筋の働きが低下すると、肩を後ろへ引く力が弱くなってしまいます。
すると、胸側の筋肉の引っ張る力に負けてしまい、肩が内側へと巻き込まれることで、巻き肩が悪化していきます。
また、三角筋と小円筋の働きが低下すると、上腕骨が正しい位置に納まらなくなるため、
連動して肩甲骨が外転し、連鎖的に背骨が曲がって、猫背を引き起こすこともあります。
そして、巻き肩の悪化や、猫背が起こることで
身体はバランスをとるために頭を前に出さざるを得なくなります。(フォワードヘッドポスチャー)
結果として、ストレートネックを引き起こします。
このように、肩の問題から首の問題まで、連鎖的に引き起こされることが珍しくありません。
そのため、巻き肩・猫背・ストレートネックは、
全部がセットで引き起こされる可能性が高くなります。
また、肩を動かす筋肉が圧迫されることで、
身体は首の筋肉で代替えする必要があります。(代償動作)
次の項目では、巻き肩と腋窩神経の圧迫が、頸椎へ及ぼす影響をお伝えしていきます。
巻き肩による首への影響
巻き肩によって、連鎖歴にストレートネックが起こることで頸椎ヘの負担が増加します。
また、ストレートネックが発生しなくても、
腋窩神経が圧迫されることで、三角筋と小円筋の働きが低下することで
腕の重みを支えることが難しくなります。
すると、首と肩甲骨をつないでいる、僧帽筋(そうぼうきん)や肩甲挙筋(けんこうきょきん)が過剰に働くことになり、
首への負担が増加します。
また、腋窩神経の流れが悪くなることによって、頸椎に付着している神経根にも影響がおこり、
頸椎に炎症や負担が波及する理由になります。
ここまでは、巻き肩によって腋窩神経が圧迫されて、肩の筋肉が働きにくくなることで
首の筋肉が代償的に動いた結果として首への負担が増加するという流れをお伝えしていきました。
ここからは、巻き肩によって引き起こされる二次被害についてお伝えしていきます。
巻き肩によって二次被害を受ける神経
巻き肩によって、三角筋の働きが低下すると、肩のインナーマッスルである「棘上筋(きょくじょうきん)」と「棘下筋(きょくかきん)」が
過剰に働くことを要求されます。すると、この2つの筋肉を支配している「肩甲上神経(けんこうじょうしんけい)」が引っ張られたり、圧迫されます。
肩甲上神経が刺激を受け続ける形になるため、肩を外転させたときに
肩から上腕にかけての痛みが起こります。

とくに、肩の外転初期(0~30度)で棘上筋が働くときに、痛みが起こりやすいです。
また、肩甲上神経は肩甲骨の上にある肩甲切痕(けんこうせっこん)を通ります。
巻き肩や猫背のような姿勢では、肩甲骨が腕の方に引っ張られた状態(肩甲骨の外転)となるため
頸椎と肩甲切痕の間が広がることで、
肩甲上神経がゴムのように引っ張られて緊張状態になります。
このように、巻き肩で肩甲骨が首から離れる位置で固定したまま過ごしていると
二次的なストレスが肩甲上神経にかかり続けることになります。
巻き肩に猫背が組み合わさると、首と肩甲骨の距離はさらに開くため、
巻き肩に加えて猫背を併発している人は、肩甲上神経が圧迫されるリスクが上がります。
もう一つ、巻き肩によって肩甲骨の位置が首から離れることで、二次被害を受ける神経があります。
それは「肩甲背神経(けんこうはいしんけい)」です。
肩甲背神経は、背骨と肩甲骨をつなぐ菱形筋(りょうけいきん)を支配しているので、
肩甲骨が外側へ固定されると、菱形筋といっしょに、肩甲背神経が持続的に牽引ストレスを受けることになります。

これによって、首から背中にかけて痛みが起こるようになります。
また、肩甲背神経は、頸椎と肩甲骨をつなぐ肩甲挙筋(けんこうきょきん)を支配しています。
巻き肩で腋窩神経が圧迫され、首の筋肉である肩甲挙筋に過剰な負担がかかることで
肩甲背神経が圧迫を受けて首から背中にかけて痛みが起こる場合も考えられます。
巻き肩による悪循環の連鎖
巻き肩から以下のように症状が波及していきます。
その様子は、まるで、神経ネットワークのドミノ倒しと表現することができます。
- 巻き型で肩が前に引っ張られる
- ・クワドリラテラルスペースの圧迫で腋窩神経が圧迫される(肩の後・下に痛みが出る)
- 腋窩神経の圧迫により三角筋・小円筋が働きにくくなる
- ・肩がさらに前に引っ張られる
・連鎖的に、猫背・ストレートネックを誘発する
- 首の筋肉が肩の動きをカバーしてダメージを受ける
- ・首への負担が増加する(首のコリ感や首の痛みの原因になる)
- 二次被害の発生
- ・肩甲上神経が引っ張られることで、肩外転時の肩から上腕の痛みが起こる
・肩甲背神経が圧迫・引っ張られることで首から背中にかけての痛みが起こる
- 痛みを避けようとして肩・肩甲骨の動きが少なくなる
- ・肩関節の動きが少なくなることで肩周りの筋肉がさらに弱くなる
・胸の筋肉に引っ張られて巻き肩・猫背・ストレートネックが悪化する
・首と肩の痛みが増幅する
以上のような悪循環がはじまります。
そのため、巻き肩を放置することは、
長い目で見ても良くありません。
解決方法は、ストレッチやマッサージだけでは不十分です。
根本的には、筋トレによって肩周りの筋肉や、姿勢を維持する筋肉を鍛えることです。
これ以外に巻き肩を根本から直す方法はないと考えています。
次の項目で、巻き肩を改善させるための筋トレをお伝えします!
巻き肩を改善させるエクササイズ
巻き肩を改善させるエクササイズを2つ紹介します!
①コブラエクササイズ
巻き肩の一番の原因は、肩の位置を後ろに引く力が低下していることです。
そこで、まずは肩を後ろに引いた力を養うために、
肩甲骨と肩を背中側で固定していくために、「コブラエクササイズ」を行いましょう。
目安は1日3セットです!

②コレクティブエクササイズ
次は、肩の筋肉を鍛えながら、丸まった身体を伸ばしていきます。
巻き肩とともに併発しやすい猫背を改善するためにも役立つエクササイズです。
目安は1日、10回✕3セットです!

まとめ
今回は、巻き肩によって、連鎖的に引き起こされる首や肩の問題についてお伝えしていきました。
巻き肩は見た目の問題だけでなく、長期的には身体の健康にも関わっていきます。
今回お伝えしたエクササイズを取り入れて、
巻き肩の根本的な解決を目指しましょう!
最後までご覧頂きありがとうございました。


