【筋膜と筋肉】筋膜リリースの手順

筋膜リリースの手順

筋膜リリースというと、ゴリゴリとほぐすようなイメージをもたれている人も少なくないかもしれません。

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確かに、ほぐすという行程は存在するので間違いではありません。

しかし、筋膜リリースの本来の効果を得るためには、ほぐす前後でやるべきことがあります。

手順を簡単にまとめると次の⑤ステップになります。

ステップ①:皮膚の上から軽く圧迫してさする

ステップ②:硬い部分を中心に優しくほぐす

ステップ③:硬い部分を圧迫したまま筋肉を動かすorストレッチする

ステップ④:皮膚の上から軽く圧迫しながらさする

ステップ⑤:ストレッチする

それぞれ解説していきます。

ステップ①:皮膚の上から軽く圧迫してさする

ほぐしに入る前に、症状のある部位と周辺を手(または指)でさすります。

場合によってはツールを使用することもあります。

このとき、軽く圧を加えながら、一定の方向に向かってさするようにします。

はじめにさすっておくことで、筋膜のコリを見つけられるだけでなく、

筋膜をならしておくことができます。

というのは、筋膜はコラーゲン繊維と基質(水)で構成されているためです。

硬くこわばった部分は、水が十分に行き渡っておらず、コラーゲン繊維が乾燥し、傷つきやすい状態となっています。(下図:真上から見た様子)

コラーゲン繊維が乾燥している状態は、ちょうどゴワゴワのタオルのようなイメージです。

ゴワゴワのタオルの糸(繊維)がほつれやすいように、乾燥したコラーゲン繊維は傷つきやすくなっています。

そのまま、無理にほぐそうとすると、場合によっては筋膜の線維を痛めてしまう可能性があります。

筋膜リリースを安全に行う為にも、事前にならしておく必要があります。

ステップ②:硬い部分を軽く圧迫して優しくこする

次は、筋膜の硬い部分に対して、圧を加えながらこするように手(または指)を動かします。

この行程では、筋膜内のヒアルロン酸に対してアプローチしていきます。

筋膜内のヒアルロン酸は、通常であればサラサラな状態であり、

これによって筋膜同士のすべりを良くしています。

しかし、筋膜が硬くなっている部分では、ヒアルロン酸の循環が悪くなり、

ヒアルロン酸の粘性が強くなって(ゲル化して)しまい、すべりが悪くなってしまいます。

Mary K Cowman(2015)

そこで、硬い部分を圧迫したままこするような刺激を加えることで、ヒアルロン酸をサラサラな状態にしていきます。

これは、硬くなってゲル化したヒアルロン酸は35~40度以上の熱が加わることで、本来のサラサラな状態へと変化していくためです。※Matteini P(2009)

また、筋膜内に存在するヒアルロン酸の粘性は

筋膜に対して摩擦の熱を与えることでが低下していくため。※ Mary K. Cowman(2025)

圧迫しながらこするような刺激を加えることが有効となります。

このとき意識したいのは、こするときの方向です。

筋膜の中でも、深筋膜は3枚のシートが重なった3層構造で、

それぞれの線維は縦、横、ななめの3つの方向があるため、

3つの内、とくに動きの悪い方向に向かってこするようにしていきます。

こする時間は、筋膜の状態によって異なりますが、指のすべりが良くなってきたら筋膜のすべりが出てきている状態です。

滑りが良くなったところで終了します。

ステップ③:硬い部分を圧迫したまま筋肉を動かすorストレッチする

筋膜の動きが良くなったところで、いよいよ筋膜リリースのメインです。

硬い部分を手(または指)で圧迫したまま、中の筋肉を動かしていきます。

すると、筋膜と筋肉の間にある支帯線維(したいせんい)が動かされていきます。

この支帯線維というのは、筋膜と筋肉(皮膚)を縦につないで体の構造を安定させる役割があります。

しかし、筋膜がこわばっていると支帯線維の配列が崩れてきてしまい、

これによって筋膜と筋肉のすべりが悪くなると、筋膜と筋肉が癒着し動きにくくなってしまいます。

そこで、硬くなった筋膜を圧迫したまま、中の筋肉を伸び縮みさせることによって

崩れていた支帯線維の配列が、元の正常な状態になっていきます。

また、筋肉を伸び縮みさせるだけでなくストレッチを行う場合もあります。

この行程は、30秒から90秒を目安に行っていきます。
硬さが少ないところは30秒、特に硬いところは90秒、場合によっては120秒と時間をかけていきます。

ステップ④:皮膚の上から軽く圧迫しながらさする

ここで、ステップ①で行った、工程をはさみます。

これは、筋膜そのもののコラーゲン配列を整えるためです。

この時点で筋膜リリースの目的は達成されていますが、筋膜をほぐす工程で、筋膜を構成しているコラーゲン繊維の配列が一時的に乱れてしまうことがあります。

このようなコラーゲン配列の乱れを放置してしまうと、再び、ねじれ、ゆがみ、癒着がおこってしまい、コリや痛みが再発する原因になります。

コラーゲン配列を整える方法は、ステップ①と同じです。

手(または指)で軽く圧迫しながら撫でるようにならしていきます。

ステップ⑤:ストレッチする

さて、ここまでのステップを行ったことで、筋肉、筋膜ともに柔らかくなりました。

しかし、ここで終わるのは非常にもったいないです。

なぜなら、動きやすくなったタイミングこそストレッチを行うチャンスだからです。

筋肉と筋膜は、自身の伸び幅を学習していきます。

柔らかくなった筋膜は伸びやすい状態になっています。

この状態でストレッチを行うことで、筋膜も筋肉を効率的に伸ばすことができます。

筋膜と筋肉が伸びやすくなると、血行やリンパの流れが促進されて老廃物がたまりにくくなり、

結果として筋膜リリースの効果を持続させることができます。

ストレッチの時間は一般的には30秒前後が基本とされていますが、筋膜を構成しているコラーゲン繊維は伸びにくいため、筋肉と筋膜の両方を柔軟にするためには、60秒程度じっくり行うと効果的です。

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