仙腸関節痛(せんちょうかんせつつう)が起こる原因と2つのタイプ

腰痛の原因の1つに、仙腸関節痛(せんちょうかんせつつう)というのがあります。

仙腸関節は、骨盤の仙骨と腸骨の間にある関節のことを言います。

仙腸関節は下図の部分になります。

ここの関節部分は大きな負荷を、小さな縦方向の関節で受けているため、

繰り返しの動作や、不意の動きによって関節のかみ合わせがズレてしまうことがあります。

この関節のズレた状態で過ごしていると、関節の周りにある組織に炎症が起こることで、仙腸関節痛が起こると考えられています。

また、仙骨の後方にはさまざまな靭帯が存在しています。

仙腸関節がズレるとこれらの靭帯に異常な緊張が生じます。

靭帯の内部には沢山の神経終末(特に痛みを感じるセンサー)が存在しているので、これらが刺激を受けることで腰やお尻、下肢の痛みが生じると考えられています。※

※参考:仙腸関節障害の今,そしてこれから

仙腸関節の痛みには大きく2つのタイプがある

仙腸関節の痛みには大まかに分けると2つのタイプがあります。

厳密には、細かく分類できるのですが、話の要点としてイメージしやすくするため、今回は2パターンで紹介していきます。この2パターンを知っておくことで、仙腸関節痛に対処するための道筋を立てやすくなります。

仙腸関節痛のタイプは、

「ニューテーションタイプ」「カウンターニューテーションタイプ」に分けられます。

詳しく見ていきましょう。

仙腸関節痛のタイプを知る上で必須な言葉:ニューテーション

ニューテーション(Nutation)という言葉は=仙骨が前傾した状態のことを指します。

仙骨が前に傾くことから、うなずき運動とも言われます。

基本的には、仙骨がニューテーションの状態になることで仙骨が前方へ傾き、

結果として骨盤の関節がしっかりとかみ合った状態が形成されます。

これによって、周りの靭帯や、お尻、体幹の筋肉に良い緊張が入ることで骨盤が安定します。

そのため、人が立ったり歩いたりする上では、このニューテーションな状態であることが基本となります。

一方で、しゃがんだり、椅子に座るときには、ニューテーションのままでは動きが硬くなってしまうので仙骨が後傾した状態になります。

このような状態のことをカウンターニューテーションといいます。

仙骨が後傾することで、仙腸関節に遊びが生まれることで

しゃがんだり、かがんだりといった丸める動作をスムーズにしています。

そのため、通常であれば、ニューテーションとカウンターニューテーションは状況に応じて使い分けられています。

しかし、構造上どうしてもズレやすい関節なので、ニューテーションかカウンターニューテーションかのどちらかに偏った状態となってしまうことがあります。

このような偏りが生じていると、仙腸関節の周りに影響がでてしまい仙腸関節痛を引き起こしてしまいます。仙腸関節痛のタイプわけというのは、仙骨の状態が前傾した状態でズレているか、後傾した状態でズレているか、どちらの傾向があるのかということで判断していきます。

いよいよ、ここからは、仙腸関節痛のタイプを紹介していきます。前提知識として、仙骨と腸骨の動きの関係性を押さえておく必要があるので、詳しくはコチラの記事を参考にしてください。

※関連記事:【仙腸関節】仙骨と腸骨の関係~うなずき運動と起き上がり運動

仙腸関節のタイプは、ニューテーションタイプと、カウンターニューテーションタイプの2つに分けることができます。

仙腸関節のタイプ①:ニューテーションタイプ

ニューテーションタイプとは、仙骨が前傾したままロックされた状態を言います。

仙骨が前傾することは骨盤が安定する一方で、そのままロックされていると、

骨盤がゆるむことができず、骨盤が硬いまま動かないといけないので、腰や股関節に強い負担がかかってしまいます。

つまり、ニューテーションが強すぎるので、治療としては過度な前傾状態を修正させるために後傾させる方向にもっていくことです。

治療としては、仙骨を後傾(こうけい)、腸骨を前方回旋させたまま

前屈や後屈を繰り返したり、股関節の前面(太ももの前側、そけい部)の柔軟性を高めるエクササイズを行います。

仙腸関節のタイプ②:カウンターニューテーションタイプ

カウンターニューテーションタイプは、仙骨が後傾した状態です。

骨盤がズレて緩んだ状態、すなわち骨盤が不安定な状態です。

治療としては仙骨を前傾状態へ修正させたまま、前屈や後屈の運動を行ったり、

太ももの裏側の柔軟性を高めるエクササイズを行います。

関連記事:仙腸関節痛が疑われる場合のテスト法とタイプ診断